まだ終わっていないので、答もでていません。どちらに正義があるとか、人の業とか、そういうのが描きたい作品ではないような気もします。
とにかく。海洋アニメというのはとても珍しいですよね。しかも潜水艦。むかーし、「ブルー・ノア」なんていう最後の最後に宇宙船になって飛んでっちゃった艦が有りましたが。(マイナー…) ああ、そういえば「ナディア」も潜水艦ですね。見てなかったけど。…「海のトリトン」も海洋アニメか…。
群像劇っていうんですか。そういうの弱いです。それぞれ自分の都合があって、でも、一つところに集ってるみたいなの。昔ほど純粋に正義を信じられなくなってしまいましたが、それでも人類を信じたいな、と。
主人公は紀之ちゃんなのかな? アニメ誌とかの描き下ろしは彼女が多いけど(村田氏の女の子だからか)…私的には速水鉄が主役だと思っているのですが。
もともと青の作戦に参加していた彼が、4年前の事件とやらで艦を降り、サルベージと言えば聞こえのいいゴミ拾いに身をやつしている…。落ちこぼれが這い上がる話も悪くありませんが、元エリートって設定も好きなんだな〜(某黒魔術士とか〜)。
そんな彼が「6号」に戻ってきて、否応無く戦ってるうちに自分の過去も清算できるかも…ってのが主軸じゃないの? え? 違う?
ゾーンダイクの真意とか、ミューテイオとの交流とか、男の友情とか(3巻で女の子が喜びそうな展開に・嘘)、硬かった紀之ちゃんが柔らかくなってくとことか、もちろん、6号の格好良さとか、見所は沢山あるんですけどね〜。私の目(脳)は腐っているのさ(笑)。人類の未来は〜?(笑)
990906
感想その2。
最初に日経CGの特集で紀之ちゃんの絵を見たときには「フルデジタルねぇ…」とぼんやり思っただけだったのに、アニメ誌で速水氏の服装(上半身裸にサスペンダー)を見て、「うわっ、なんちゅう格好だ」と思ったのが見ようと思ったキッカケ(半分以上本当・笑)。
首から下げてるモノが何なのか分からなくて…笛?とか(犬笛みたいな特殊な物かと)。妙に気にしてました。
ライターだったとは…(全然違った)。手持ちぶさたに弄ったりして、お役立ち。カッコイイ小道具に弱いんです〜。
ゴツそうなブーツを履いてる所も好きです。パンツの裾のデザインも。あ〜手袋も…って全部じゃん。(馬鹿かも)
速水だけでなく、全体に衣装のデザインが好きですね。乗組員お揃いのツナギもいいし、その上に羽織るジャケットの裾が短めなのもいい。キャップの被り方に個性があるのもいいですね。あくまで生真面目に着ているユーリとか、ツバを後ろに回している艦長とか。
ああ、でもやっぱり、だらしなく前をくつろげて着てしまう速水がカッコイイ…。(やっぱ馬鹿だ)
紀之ちゃんはグランパスに乗るときピッタリしたウエットスーツみたいなの着るんだけど、速水は着ないのかなぁ。アレは女の子だから嬉しいデザインか。(森雪とか〜) しかし、紀之ちゃんも結構大胆に胸元開けてるよなぁ…。
2話で露出度が下がった速水さんですが(笑)、3話でツナギの上を脱いで腰結びしちゃってるあたり、きちんと服を着るのが嫌いなんでしょうか。(暑かったんだろうけどね) だいたいあの格好(ふたつめの絵)の上に直接ジャケットを着ちゃう感覚からして、おおざっぱですよね。急いでいたからだとは思いますが。
3話なんですけど。濡れてしまった煙草をずらっと並べて乾かしてるのが、ナントモ速水さんだなぁ、と思いました。ヘビースモーカー……。(細かい所でキャラが描けてていいです)
990910
感想その3。
とうとう完結いたしました。長かったような早かったような…。2巻から3巻の間が一番長く感じましたね。発売が延期になったせいもあると思いますが、お話的にも「どーなるんだぁ」っていうところで終わっているし。
最終巻見終わってから、もう一度最初から見ました。そうすると、一本のお話として繋がってるのが良く分かって面白かったです。伏線とか、登場人物の心の動きとか。作画がそれぞれ個性的ですし、それ以上に3Dの表現力が格段に進歩しているので、映像としての統一感には欠けるかもしれませんが。(通して見ると特に)
上で、「そんな彼が「6号」に戻ってきて、否応無く戦ってるうちに自分の過去も清算できるかも…ってのが主軸じゃないの?」なんて語っていますが、確かに、速水さんは自分の過去を清算できたようです。でもそれって、もしかしたら3巻で済んでいるような気が(笑)。話の本筋はやはり、ゾーンダイク、海獣たちとの争いの結末でした。(当たり前)
で、そのゾーンダイクですが。この辺を語ろうとするとモロにネタバレになるんですよね。ここでは軽くミーハーを語ろうと思っていたのですが、「青6」はそれを許してくれないらしいです。というわけで、下の方はネタバレです。背景色と同じ色で語りますので、「ネタバレOK」な方は反転させて読んでくださいませ。m(_
_)m
では、ネタバレにならない程度の話を。
幽霊戦艦が海中を進む姿にどことなく懐かしさを感じたヤマトファンのワタクシ。あれの母体が旧日本軍の「長門」だと知ってなんとなく納得。ではあれは本当に亡霊なのだなぁ、とも納得したのでした。※スイマセン。嘘を書きました。ナガトワンダーという名前もあるようですが(原作漫画?)、長門そのものを使っているわけでは無いらしいです。
ソナーが頼りの潜水艦の戦いが、格好良く描かれていて最高です。2〜3巻での鬱憤を晴らしていただきました。
そしてアクション。透過光も派手な効果音も無いけれど、それはそれは素晴らしい作画です。硬派な感じがたまりません。声優さんの演技がまたっ!
声優さんで思い出しましたが。ウチのデスクトップの音声は速水さん(郷田ほづみ氏)です。(デスクトップアクセサリー、東芝EMIより発売 ※追記:現在では入手困難) あの渋くも色っぽい声で「システム起動」とか、「エラー」とか言ってくれます。極めつけが「いいのか?」。イエス・ノーを選ぶときのエラー音に使っているのですが、毎回「いいです」、「駄目です」と返事をしてしまいます。(テレビと会話するより怪しいかも)
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新たな種。
3巻ラストで「ゾーンダイクと会う」ことを決意した速水。ところが、「青」最後の作戦は始まっており、彼一人の意見など通らない事態になっている。人類の存亡がかかっているのだから当たり前です。ですが、そこで諦めない。それまで、外部との関わりから逃げ、「何をしても手後れ」と公言していた彼が、最後の最後に諦めないというのも皮肉ですが、やはり、彼の過去が清算されるのも、このお話の核の一つだったのだと思います。
そんな彼を「退艦」という形で送り出してくれる艦長。自分の立場ではギリギリの行為。下手をしたら作戦そのものにヒビを入れるかもしれない独断です。男、一世一代の懸けです。(惚れるぜ、艦長)
更に、そんな速水の行動などお見通しで、先にグランパス(小型艦載艇)で待っている紀之。殲滅作戦のさなかにあって、小さいけれど確かな希望がそこに集まっていたという奇跡。たった三人(すみません…シドラも入れて四人ですね)の決意が、人類を救うことになるのですから。
ゾーンダイク。彼が何故復讐(それも、全人類に対して)を決意したのか、彼の家族がどうして死んだのかが漠然しているので分かり難いのですが、とにかく、彼は、人に絶望していたんですね。そして、自分自身も人であるからこそ、最後の作戦に「核」を持ち出すことを知っていた。何だかやり切れないです。
速水は彼に「俺たちを試したのか」と言いますが、ゾーンダイクは確信していたように思います。人が、自ら地獄の蓋を開けることを。
それと同時に、誰かが自分を止めてくれることも望んでいたのでしょう。彼は断罪されて死にたかったのかもしれません。
親友を救えなかった(見殺しにした)という負い目から逃げ続けていた速水。家族を失った怒りからゾーンダイクを憎み、自分の戦いが正義であると気負っていた紀之。そんな二人が、出会ってから数日の間にそれぞれ人生観を変える体験をして、共にゾーンダイクと対面する。
速水は、ゾーンダイクを撃とうとする彼女を止めます。感情に任せて手を汚したら、後悔するだろうということを知っていたんですね。出会った頃彼女の年齢を尋ねる場面がありますが、その時から彼は、彼女の気負いを痛々しく(皮肉な感情の内にも)感じていたのだと思います。
2巻ラストで、破壊されたブルードームを見て、6号や紀之が走馬灯の様に駆け巡る場面がありますが、あの時すでに、速水の中では失いたくない物になっているんですよね。いや、恋愛感情とかではなくて、身内っていうか…。結局、彼が厭世的になってしまったのも、人との関わりに情があるからこそだったのでしょう。一見無愛想なのも、脆さを隠すポーズなのかもしれません。
そして、自ら泥を被る速水。殺した、という事実に震えてしまう左手。年相応の彼がそこにはいます。(ライターを探して苛着く姿も愛しい)
明るい所で正面から殺したのは初めてだった………。
1巻でウミグモ(敵ロボット)に機関銃を乱射する彼に、紀之が「物騒ね」と叫ぶのに対して「物騒なんだよ、シナ海は」と返す場面があるのですが、あれはそういうことだったのか、とここで納得。落ちぶれていた間、彼は本当に汚い仕事もしていたんですね。飢餓で何億という人類が死ぬような、荒れ果てた世界。身を守るための行為だと、どこかで自分を正当化していたわけですが、さてここで、自分が生き残る為だけでなく、もっと色々な意味を込めた筈のゾーンダイク殺害を、消化することが出来ずに震える。
とても弱いけれど、強い。そんな気がします。だって彼は、自分の中へ逃げ込むのをやめたんですから。自分のしたことが分かっているんですから。そっと頭を抱きかかえてくれる紀之の温もりは、彼の救いになるでしょう。
ミューティオ。本当に人魚姫なんですね…。速水の隣に座る紀之が、どう見えたのか。静かに潜っていく彼女が哀しいです。
…なんて奇麗にまとめていますが。本当はもっと暴風のようにいろいろと言いたいことがあったり、言葉に出来ないだけだったり、まだまだ萌えているのでした。でも、キリが無さそうなので今回はこの辺で終わりにします。時間が経ったらまた、違う感想を抱くのかもしれません。
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